大学入試の出願を紙ではなくインターネットで受け付ける大学が急増しています。
私立大が先行していましたが、今春の入試では国公立大でも導入が広がっています。
河合塾によると、通信制などを除く4年制大学で今春の一般入試からネット出願を導入したのは私立大で65大学、国公立大で10大学。
これで、導入割合は私大では全体の5割、国公立大では1割になりました。
情報部の岩瀬香織チーフは「国公立は今回、急拡大した。先行して導入した大学で大きな混乱がなく、広がったのではないか」と見ています。
紙の場合、募集要項と願書を大学から取り寄せるなどし、必要事項を記入して郵送する。
それがネットの場合、パソコンやスマートフォンで大学の専用サイトを開き、個人情報や志望学部などを登録する。
ただ、ネットで登録して完了ではなく、志願票や写真票を印刷して郵送することは必要になります。
業務も効率化へ
京都大では今春の入試からネット出願を導入。
同時に紙の出願を廃止し、ネットに原則一本化した。
入試企画課によると、学生の利便性を高めることが大きな理由だが、大学の業務の効率化も狙ったという。
京大では、高校時代の幅広い活動を評価する「特色入試」を2015年秋から導入するなど、試験が多様化。
職員の業務が増えていた。
紙の願書では、間違いがあると職員が受験生に問い合わせる必要があった。
ネットでは記入漏れをエラー表示で知らせることもでき、問い合わせが減ると期待しているという。
ネット環境がない人のケアも
ネット出願のシステムを大学に提供している「KEIアドバンス」(東京)によると、ネット出願は5年ほど前から志願者数の多い私大で広がったという。
当初は紙との併用が多かったが、ここ数年で紙を廃止してネットに一本化する動きも加速した。コスト削減の効果などから、今後も増えるとみているという。
一方、各大学では、身近にネットやプリンターを利用できる環境がない学生向けの対策を取る。
6年前から全面導入する関西大は、大学に専用パソコンを用意し、受験生が大学に行くと出願できる。
大学職員が電話で聞き取って代行入力することも可能だ。
京都大では図書館やインターネットカフェの活用を助言するが、こうした施設の利用も難しい場合は、代行入力も受け付けています。